雪の花
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
太古に神が動物と植物とを造った時、動物たちは形や大きさが違っているから、おたがいに区別し易かった。
それに反して植物、ことに草は小さいから区別しにくくて因っていた。
そこで草たちは、われわれにも各々違った色彩を与えて欲しいと神に頼んだ。
神はもっともな願いだと思い願い通りさまざまな色を草につけてやった。
そのため大きい箱に詰め込まれた絵具は、もう何一つ残っていなかった。
その時、片隅にうずくまっていた雪が、私にも色をつけて下さいと願ったが、
神はもう全部の色を使い果たしたあとだったので、神は花に向って、みんなが
自分の色を雪に別けてやるように命じた。雪はさっそく青草のところへ行って、
青色を下さいと頼んだが、青草ほ笑っていて相手にしなかた。
バラは雪が近よると、震えてばかりいて一言も言葉を喋らなかった。
ヒマワリは雪を振り向きもしなかった。
ところが、-隅に孤独に生えていたスノードロップほ、雪が色を貰うことができないのを眼の前で見ていた。
雪は首をうなだれて、「誰も私に色をくれないので、私はまるで風と同じだ。
風は色がもらえなかったので、ついに暴れん坊になってしまった」と悲しそうにつぶやいた。
それを聞いたスノードロップほ雪に同情して自分の素朴な白い色を雪に別けてやった。
雪は大変喜んで、この花に感謝した。
それから後は、スノードロップと雪とは大の仲よしとなった。
だから他の花々が荒々しい寒さに無惨に滅ぼされる時でも、
この花だけは、雪にやわらかく抱かれて守られている。
『花の文化史』より
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
スノードロップ (待雪草) Galanthus nivalis
※参考
イギリス、ランカシャーのBank Hallスノードロップ庭園