クノウ姫とモグラ
福寿草 Adonis amurensis
福寿草 Adonis amurensis
クノウ姫とモグラ
昔、蝦夷の国の天上の神にクノウという美しい姫君がおりました。姫が年頃になったので、父神はすばらしい婿君を探そうと苦心しておりました。
地上のあらゆる神々を丹念に調べましたが、姫にふさわしい婿は見つかりません。たまたま、地中に住むモグラの神を調べたところ、これぞ父神のメガネにかなった似合いの婿であることがわかりました。そして、モグラの神も姫を妻にと望んだので、目出度く婚約が成立しました。しかし、生まれつき明るい太陽が大好きなクノウ姫は、モグラの神との結婚が嫌で嫌でたまりませんでした。でも、父神のいいつけです。逆らうことはできません。姫は泣く泣く地上に降りて、華燭の典を挙げることになりました。
そして、結婚式の当日、天上天下あらゆる神々が集う宴の最中、クノウ姫の姿がかき消すように見えなくなってしまいました。一同が慌てふためいて探したところ、荒野の雑草の影で泣いている姫が見つかりました。これを見たモグラの神は激怒し、「お前は、天の掟に背き、父の御心に背いて、天上地上を騒がせた。二度と天上の雲の宮居に帰ることはできない。一生地上の草となって暮らすがよい」といって、姫を激しく折檻しました。
クノウ姫はそのまま黄色い花をつけた福寿草となり、陽が昇ると花を開き、はるか天上の故郷を仰ぐようになりました。 (アイヌの伝説)
by toruphoto
| 2014-02-13 20:49
| 花・植物