スノードロップ
スノードロップ(待雪草) Galanthus nivalis
スノードロップは雪と仲よし
太古に神が動物と植物とを造った時、動物たちは形や大きさが違っているから、おたがいに区別し
易かった。それに反して植物、ことに草は小さいから区別しにくくて因っていた。そこで草たちは、
われわれにも各々違った色彩を与えて欲しいと神に頼んだ。神はもっともな願いだと思い願い通り
様々な色を草に付けてやった。そのため大きい箱に詰め込まれた絵具は、もう何一つ残っていなかった。
その時、片隅に蹲まっていた雪が、私にも色をつけて下さいと願ったが、神はもう全部の色を使い
果たしたあとだったので、神は花に向って、みんなが自分の色を雪に別けてやるように命じた。雪は
さっそく青草のところへいって、青色を下さいと頼んだが、青草ほ笑っていて相手にしなかった。薔薇
は雪が近よると、震えてばかりいて一言も言葉を喋らなかった。ヒマワリは雪を振り向きもしなかった。
ところが、片隅に孤独に生えていたスノードロップは、雪が色を貰うことができないのを眼の前で
見ていた。雪は首うなだれて、「誰も私に色をくれないので、私はまるで風と同じだ。風は色がもらえ
なかったので、ついに暴れん坊になってしまった」と悲しそうにつぶやいた。それを聞いたスノード
ロップは雪に同情して自分の素朴な白い色を雪に別けてやった。雪は大変喜んで、この花に感謝した。
それから後は、スノードロップと雪とは大の仲よしとなった。だから他の花々が荒々しい寒さに無惨に
滅ぼされる時でも、この花だけは、雪にやわらかく抱かれて守られている。
(ドイツ伝説)
by toruphoto
| 2017-01-23 20:05
| 花・植物