Cupido (Cupid)
パンジー Viola tricolor
天使の面影を写したパンジー 西欧伝説
昔、天使クーピードーが愛の使命を帯び、春風に乗って地上に舞い降りて、
広い野原をさまよっていた。その時ふと足元を見ると、雑草の生い茂るその陰に
名も知れない花が慎ましく咲いていた。良く見ると花は小さいがなかなか美しく
可愛い花で、見れば見るほど色も香りも何とも言えず優しかった。
それなのにこの花は、こんなにも淋しいところにただ一人黙ってひっそりと咲いていた。
天使はそれがひとしお気に入って、そっとその花にささやいた。
「お前の心根のゆかしさと尊さに感心した。私は今お前の顔に、私の面影を残してあげよう。
だからお前はこれからはますます美しく、またいよいよ気高く咲いて、この世に愛と希望を
広げなさい。」そう言って天使は、そっとその花に接吻した。
その雑草の下に埋もれて、わびしく咲いていたのはむろんパンジーで、この花が優しく
可愛いのは、天使の面影を宿しているからであるという。
『植物と伝説』
by toruphoto
| 2011-02-22 22:18
| 花・植物